第一章 創世記 より抜粋 遥か昔、虚無の暗黒に包まれていたこの空間に一筋の光とともに神は降り立たれた。 神が脚を触れた所から大地は始まり、やがて果てなく広がっていった。 また神は大きく手を振り払われた。神の手が触れた所から空が始まり、空は大地以外の全ての空間を満たした。 神はまた空に太陽を置き、方角を決め、太陽が東から昇り西へと沈むよう取り計らわれた。 太陽が沈んだ後は休息のときとして、かつての如く闇が空を覆ったが、神は空が元の漆黒に戻るのを躊躇われ、漆黒の空に月と星を置き、月もまた太陽を慕って東から昇り西へと沈むよう計らわれた。 神はまた、太陽と月とはそれぞれ同じ時をかけて大地を巡るようお決めになり、その一巡りの時を一日と定められ、太陽と月は毎日新しく生まれては死んでいくその営みを永遠に繰り返すようにと取り決められた。 太陽と月の営みは順調に繰り返され、幾めぐりが過ぎた頃か、神は大地を区切り、土で出来た部分と、水で出来た部分とをお創りになられた。 陸と海である。 海は陸を取り囲み地の果てまで続きその先で滝となり底知れぬ深みへと落下している。 いくら水が落下しても海の水が尽きぬのは限りなき神のご恩寵によるものである。 神はまたあまたの生き物を作られ、陸と海とに住まわせられた。 人間もまた神が作られた生き物の一つである。 神はご自分が作られた生き物のうち最も賢かった人間と言う種族からさらに賢いものを八人お選びになり、弟子となされた。 いわゆる八聖者である。 やがて長き年月生きてこられた神もそのお命が尽きる時を迎え、神はご自分の血を弟子である八聖者に分け与えられた。 神の血を受け継ぎし八人の聖者は神の命に従いそれぞれの生まれた地に戻り国を興し王となって納めた。 パンゲア大陸の八大聖国はこうして生まれた。 すなわち、赤の聖者ローゼンマイネンが興した南の大国ローゼンシュタット 橙の聖者シュタインフェルトが興した南東の国グローセンシュタイナー 黄の聖者ゲルトカインデルが興した東の国ゲルトマイシュタルフ 黄緑の聖者アイゲンシュタンフェルが興した北東の国アイゲンシュタイン 緑の聖者エンゲルスファフトが興した北西の大国ノルドファフスベルク 青の聖者フィルドクリフトの興した西の大国フィルデンラント 紫の聖者ニーダーツェルモントの興した南西の国ゾーネンニーデルン そして、神のご遺体を永久に祭り、また他の国の盟主としてそれぞれを導く役目を神より申し付かった白の大聖者ホーファーベルクトが興した大陸の中央に位置する唯一の帝国、ホーファーベルゲンである。 神はお隠れになられるときお言葉を賜った。 すなわち、この先あまたの年月が流れ、パンゲア大陸にも数多くの新興国が生まれては滅んでいくであろうが、この八大聖国は、その栄光は未来永劫朽ちる事無く、この世にパンゲア大陸あるかぎり君臨しつづけるであろう。 それこそが神が八人の弟子に特別に与えられた恩寵なのである、と。 |